税に関するコラム

小規模企業共済のメリットやデメリットは?個人事業主・中小企業の役員や経営者必見!

<概要>

小規模企業共済とは、個人事業主、中小企業の役員や経営者が引退や廃業などによって解約した場合、それまで積み立てた金額に応じた共済金を受け取ることができる、「退職金制度」です。

現在は、国から100%出資を受けている独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)によって運営されていて、条件として常時従業員の数が20人以下の個人事業主、または会社の役員や経営者が加入することができます。

なお、会社員や、一定規模以上の会社の経営者や役員は加入することができません。

<加入の手続き>

加入手続き自体は、中小機構が契約を結んでいる団体、または金融機関の窓口で行うことができます。

手続きにあたって、個人事業主の場合、確定申告書の控えが必要であり、株式会社など法人の経営者や役員の場合、履歴事項全部証明書など登記がされていることが確認できる書類が必要となります。

このように、加入する方の属性によって手続きの仕方が異なるため、事前に必要な書類を確認しておきましょう。

 

<メリット>

①掛金は全額所得控除できる

小規模企業共済の掛金を支払うことで、確定申告の際にその全額を所得控除することができるため、高い節税効果を得られます。

例えば、毎月の掛金が5万円であれば、最高60万円が所得から控除されます。

また、小規模企業共済以外にも、iDeco(個人型確定拠出年金)という制度も掛金控除を受けることができます。

②掛金は増減・減額できる

掛金は、1,000円から70,000円まで、500円単位で自由に設定することができます。

また、加入後も自由に増額・減額を行うことができるため、毎月の売り上げ状況などを考慮しながら無理のない範囲で掛金を自分で設定できます。

③共済金の受取は、「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択できる

共済金は、引退や廃業など解約した時に受け取ることができます。

iDecoは原則60歳まで積立金を受け取ることができませんが、小規模企業共済には満期という仕組みはありません。

共済金の受取は「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができ、一括受取を選択すると「退職所得」、分割受取を選択すると「雑所得」扱いになります。

④貸付制度が利用できる

一度支払った掛金を戻してもらうことはできませんが、資金不足の場合は、低金利で即日に利用できる貸付制度があります。

貸付制度には「一般貸付制度」「緊急経営安定貸付け」などの種類があり、借入限度額や借入期間、借入金の返済方法、利率などが異なります。

例えば、経営悪化等で資金繰りに困ったときは、この貸付制度を利用し一時的にお金を借りることで、リスク回避ができるでしょう。

 

<デメリット>

①掛け捨てリスクがある

掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、共済金を受け取れず掛け捨てとなります。

ただし、契約者の責任ではない「やむを得ない理由」により生じた掛金の滞納については、共済契約を継続することができます。

このように、掛け捨てとなっている期間が定められているため、節税になるからという安易な理由で考えず、デメリットも理解した上で慎重に加入を検討するとよいでしょう。

②加入期間20年未満は元本割れする

掛金納付月数が20年未満で任意解約をした場合、掛金合計額を下回り、元本割れしてしまいます。

事実として、中小機構のホームページでも、掛金納付月数が20年未満の場合は元本割れとなることが明記されています。

なお、加入期間が20年以上でも、途中で掛金を増額や減額したり、掛金区分ごとの掛金納付月数が20年を下回ったりした場合、任意解約の際に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ることもあります。

③受取時には課税される

積立時の掛金は全額が所得控除できますが、受取時には退職所得、または雑所得として課税されることになります。

このように、小規模企業共済は、いわゆる「課税を先送りにできる制度」であることを理解しましょう。

ただし、退職所得や雑所得は、事業所得などの所得と比べると税負担は軽減されるため、トータルで考えると大きなデメリットにはならないと考えられます。

 

<まとめ>

この記事では、小規模企業共済についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。

個人事業主、中小企業の経営者や役員に強い味方である小規模企業共済は、老後&節税対策のできる非常に便利な制度ですが、12ヶ月未満の場合は、掛け捨てとなってしまいますし、加入期間が20年未満の場合は、元本割れしてしまうなどのデメリットもあります。

加入を検討する際は、ご自身の立場や状況をしっかり理解した上で、税理士などに相談してすることをおすすめします。